もしこうなっていたら――
 これはなかった物語だ。実際にはあり得ず、平行線の向こう側に行ってしまった物語。
 もしも、如月優が死を免れていたら、如月千早の人生はどうなっていたのだろうか。
 もしも、如月優が植物人間になっていたら、如月千早の人生はどうなっていたのだろうか。












 赤い赤い世界。
 世界は赤で彩られていた。ビルも街も人も、すべてが赤で彩られている。
 血のような赤で。
 赤は生を想像させるのに、今の私には、生を感じさせなかった。
 優の命が、優の呼吸器が、ジジと鳴く。か細い鳴き声だった。今にも消えてしまいそうな危うさを秘めた声。
 ねぇ、知ってる? 貴方は殺されそうなのよ。
 決して声にしない。
 声には出来なかった。
 声に出せば、その通りになってしまう気がして。
 だから、私は声に出した。
「私が代わりに死ねばいいのに」


愛ある世界は君が見た夢
・2014.05.03 MyBestFriend7
・I-08 ほしのうみ(委託)
・文庫サイズ 56ページ
・頒布価格:300円
・執筆者:riverside
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